袖ケ浦混声合唱団

マタイ受難曲

三月の最終日曜日はヨーロッパでは冬時間から夏時間に切り替わる日。今日がちょうどその日に当たります。


近づく復活祭の日と共に、人々は暗く長かった冬に別れを告げ、明るい夏に期待を膨らませる。ところが今年は思わぬ新型コロナの惨禍に見舞われて、喜びどころか家に閉じ込められ、鬱屈した気分が募るばかり。春の息吹を感じるなんて夢のまた夢。


ドイツ南部のオーバーアマガウという小さな町では、10年に一度、この時期にイエス・キリストの受難と復活を描いた受難劇を上演してきました。そして、ちょうど今年が上演の年に当たっていましたが、コロナの影響で来年への延期が決まりました。前代未聞のことのようです。


この復活祭の時期によく演奏されるのは受難曲。オラトリオというジャンルですが、わかりやすく言えば演奏会形式のオペラのようなもの。新約聖書の福音書を台本にしたもので、マタイの福音書であればマタイ受難曲、ヨハネの福音書であればヨハネ受難曲と呼ばれ、キリストの十字架磔刑の受難から復活までを描いた音楽作品です。


このうちマタイ受難曲の最高峰とされるのがJ.S.バッハの作品。演奏時間三時間の大作ですが、計算し尽くされているにもかかわらずそれを全く感じさせない劇的な描写に深く心を打たれます。


その中から私が特に好きな一曲をご紹介します。作品のちょうど中ほどで歌われるアルトのアリア「Erbarme dich, mein Gott」で「神よ、憐みたまえ、私の涙ゆえに」と切々と訴えかける音楽がコロナに苦しむ私たちの心に沁みます。


演奏はメゾ・ソプラノのクリスタ・ルードヴィッヒ、クレンペラー指揮のフィルハーモニアオーケストラです。


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