五井病院慰問コンサートに向けて

 令和元年の夏は狂ったように暑くシルバー世代に対しても容赦しない。暑さにうんざりしながらも8月22日(木)の五井病院での慰問コンサートが待ち遠しい。あと残された日はわずか3日、いつも通りとはいえ今回のコンサートの練習は特に仕上がりレベルに不安が残る。テノールの主力の2人を退団休団で欠き、さらにバリトン、バスでも各1人退団して、市原グリークラブ創立以来の危機に瀕していると言っても過言ではない。テノール4人、セカンドテナー4人、バリトン3人、バス2人の構成はいかにも寂しい気がする。

 今回のコンサートは、この病院にリハビリで通うテノールの重鎮が企画し交渉して実現したものです。最近、マンドリーノコスモス市原との共演や教会でのクリスマスコンサートなど積極的に活動範囲を広げている市原グリークラブにとって、合唱祭までのこの夏の期間をさらに充実した練習につなげるためにも、いい企画として受け入れ全員で練習を頑張ってきました。しかし昔と違って同じ練習時間ではなかなか仕上がらず不安を残してコンサートを迎えています。

 そこで、いろいろ作戦を立てて臨み最後はアンコールの嵐の中、溢れんばかりの笑顔と歓声に包まれた素晴らしいコンサートにしたいと思っています。


コンサートのプログラムは

   1.アン二ローリー(白百合) (イギリス民謡)

   2.ともしび(ロシア民謡)

   3.いざ立て戦人よ(ドイツ学生歌)

   4.希望の島(男声合唱の定番)

   5.月夜(男声合唱組曲ピエロから)

   6.見上げてごらん夜の星を(坂本九の名曲)

   7.七つの子(日本童謡)

   8.ソーラン節(日本民謡)

  アンコールとして、里の秋(文部省唱歌)学生時代(ペギー葉山)を用意。

 演奏時間は解説や司会を入れて1時間を予定している。そこで、内々に聞かせどころを紹介したいと思っています。

 まず、最初の“白百合”では、吉田氏と石井氏のバリトンが奏でる「露(つ~ゆ)の玉敷く(し~く)」の出だしの美声に痺れた会場は瞬殺の状態に陥ること間違いない。途中のバスの「澄み~渡りし~空にも似通う」ではバスの聴かせどころ、ここは各パートとの掛け合いも魅力的。最初の一曲で会場の雰囲気が一気に盛り上がる。2階のロビーを埋め尽くしたリハビリで来院した人々や職員の皆さんの中には、男性コーラスを初めて聞いた人もいるに違いない。

 2曲目は「ともしび」、昭和30年代歌声喫茶で良く歌われた曲で、懐かしさがこみあげてくるのだろうか、初老のご婦人がそっと目にハンカチを充てる姿も、そして最後のバスのソロ「黄金~のともしび~永遠に消えず~」では、あまりの低い音程に一瞬息を吸うのを忘れて口を開けたままの人が続出かも。

3曲目は「いざ立ては」は勇ましく行進曲風に歌い、歌っていても勇気と闘志が湧いてくる歌だ。4パートが互いに他のパートを気にしながら繰り出す声の迫力は聴きどころだ。会場はこの曲で完全に市原グリーのファンとなり、男声合唱の虜になるだろう。

 齢を重ねて磨きあげられたハーモニーと音色は捨てがたい魅力となって聴衆を引き付けるだろうか。確かに音程が不安定だったり、歌詞がこもったり出だしがちょっと早かったりすることはあるが、これも今や愛嬌か。細かいことには目をつぶってもらおうといつもと違って少し強気なっているかも。

 4曲目は、「希望の島」、男声合唱では定番の曲だ。歌っていてもハーモニーに酔いしれてしまうほど男性合唱の魅力を引き出してくれる。こんな島があったら是非永住したいと思わせてくれるような演奏にしたい。ここで新たに息を吸って心を落ち着かせ後半へ。

 5曲目は、合唱祭で挑戦する男声合唱組曲“ピエロ”から「第一曲目の“月夜”」。演奏前の曲の説明で期待が膨らみ過ぎている中の演奏はキツイかも。この曲で会場に落ち着きが出て聴衆も冷静になって男声合唱を楽しめる雰囲気になってくるだろう。これからは終局に向けて心して演奏していかないと本当の感激を与えることはできない。恐ろしい時間帯を迎えて緊張が増すはずだ。

 6曲目は、「見上げてごらん夜の星を」は坂本九の歌で誰でも知っている。男声合唱ではどのように歌うのか誰でも関心が高いはず。しくじると完全に見放されてしまう強迫観念がいつもある曲だ。音程が不安定になりやすいところが多く、パートが強調するあまり全体のバランスを崩す危険性もある。

 山本先生の必死の指揮が続くだろう。先生の指揮はどんな危機に瀕しても笑顔を振りまき我々のミスに乱されない、常に先を見つめて我々を強引に引っ張ってくれる。今回も暗譜できず楽譜をもっての演奏会になってしまいそうだが、先生の指揮に委ねて暗譜で演奏をすることがこの団の最重要目標であることを再確認する演奏会にしたい。

 ここにきてどうにか6曲目を乗り切った安堵感と疲労感が襲ってくるだろう。

 7曲目は「七つの子」、練習で意外に手こずった曲でみんな舐めていたのではと反省している。簡単なようで難しい曲と気づいたのが遅かった。

 この曲で力尽きてしまわないようにここで再び気を持ち直してアクセルを吹かすことが必要と心得たい。

 8曲目は日本民謡の「ソ—ラン節」。民謡もいいが合唱曲としてもいいアレンジになっている。先生の指導通り歌えれば、有終の美を飾れる曲となるであろう。ニシン網を引く北海道の漁師のソーランの勇壮な掛け声とそれにこたえる“ハイ、ハイ”の男らしい掛け声は合唱のメロディを鮮明に彩っており、ここで万来の拍手で終曲を飾る。

 そしてアンコールの嵐が鳴りやまず、忍び寄る秋の気配を信じて用意した「里の秋」を歌う。会場を埋め尽くした皆さんと一緒に、囲炉裏を囲んだ昔を忍んで歌い、大満足の中コンサートを終えることができるようにしたい。

 残された練習はコンサート当日の有秋公民館での2時間ですが、体調維持に気を付けていい練習にしていきましょう。

                             バス: 桐田