神村さんの隣で歌った
先日の市原市楽友協会のオケ合わせで、今回「聖パウロ」でバスのソリストを務める神村賢一氏が参加され、幸運にも私の隣でバスのソロを歌い、同時にコーラスのバスのパートを歌ってくれるチャンスに恵まれました。神村氏は大学の男声合唱団の出身で音楽大学を卒業した音楽家ではありませんが、市原市の市役所で土木部門に勤務しながら勉強して現在ソリストとして活躍されています。以前は年末のオラトリオ演奏会でバスのパートを一緒に歌ったこともあります。オケ合わせでは神村氏が隣で歌ってくれたためか何かしら別人のように歌うことができました。ソリストとなると音程はもとよりテンポも確実で、強弱はもちろん楽譜に忠実な歌声には隣にいて歌いながら痺れました。ドイツ語の発音の響き、特に言葉の意味に合わせたブレスの位置やクレシェンド、デクレシェンドの表現など細かい楽譜の理解には、隣で歌っていても良くわかります。決して大きな声ではなくても鼻腔を聞かせた明るい声の響きは、オケの音とは一線を画して浮き出ていながら心地よく調和し、これが山本先生の言う声の響きなのかもと実感した次第です。
山本先生は、練習で鼻腔を使えとよく言います。「ンガンガンガンガンガ」と鼻腔を効かせた発声練習をして鼻腔が唸るのを体感できても、合唱時は喉を鳴らしてついつい叫んでいます。私はこの癖が治らずグリーの足を長年にわたって引っ張ってきたような気がします。 練習時に自分の声を録音をしているのですが私の声はほとんど録音されていません。退団されたバスの榊原さんの声はそんなに大きな声ではないのですが、私の声を押しのけて録音されているのを思い出しました。榊原さんは鼻腔を効かせた発声していたのです。鼻腔を使っていない発声は響かないだけでなく遠くまで届かず録音さえ拒否していたのです。私は声は大きいと言われてきましたが音楽的には全くでたらめな発声であることを痛感しました。
神村氏の発声は本当に鼻腔が効いて唸っていました。ブレスで得た限られた空気量で言葉を継なぐためには空気効率のいい発声が不可欠です。そのためには鼻腔を効かした発声をマスターしなければならないことがよくわかりました。
美空ひばりやまた鳥羽一郎のような演歌歌手でもよく観察すると鼻にかかった声を出していることに気が付きます。鼻腔を唸らせているのです。分かってはいたのですが神村氏が隣で歌ってくれたことで自分の欠点がはっきりしました。団子鼻でさらに低いから自分にはできないと諦めていたところもありましたが、今からでも頑張ってマスターしてみたいと思います。
バス:桐田勝夫
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